2012 壬辰

海の神様だって聞いた黒い龍。

ある月の夜に いつも大事に持っていた珠をコロコロと転がした。

「あれ? どうしたの?」  

足許から拾ってコジカが渡すと また鼻先で押し返す。

「・・・はい」

もう一度返そうと思って 頭の上にかざしたら
月の光が たくさん集まってきたんだ。

そうか 龍もコレが見たかったんだね。
 
自分で持ってちゃ見られないもんね
自分で持ってちゃ見れないもんもあるもんね。

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